講師演奏の反省など

今回の発表会の講師演奏に選んだジョリヴェのフルート協奏曲、少し聴きづらかったですよね。もっと表情豊かに演奏できれば・・・と、ビデオを観て猛反省しました。第一、協奏曲なのだから暗譜しなくてはいけなかったのですが、間に合いませんでした。選曲にあたってしばらく難しいパッセージを練習していたのですが勝算無く、私も生徒の皆さん同様、仕上げられる自信が持てず、いつまでも決められずにいたからです。

この曲を初めて練習したのはコンクールの2次予選を控えながら、一応本選の課題曲も見ておかなくては~という状況でのことでした。落ちちゃったら吹かないんだよな~なんて雑念の中であまり身が入らず、やっぱり2次で落ちてしまったので、それっきり。

ジョリヴェの協奏曲というと「リノスの歌」と並んで芸大の試験ではみんなが競って演奏する難曲で、試験だから仕方ないのですが、あまりのテンポの速さに、私は取り組む前にしてすっかり腰が引けてしまい、曲は大好きなのに一度も演奏したことがありませんでした。そうこうするうち、もう年だからなあ、と難曲を練習するのが億劫にもなっていました。

それから10年以上を経て、次男誕生の直前に引っ越ししてようやく落ち着いてからのつかの間の平和な時間に、何かを練習しようと思ったけれどこれと言って気が向かず、唯一吹いてみたくなったのがこの曲で、できたてホヤホヤのスタジオで、大きなお腹に聴かせるような曲じゃないなあ、と思いながらあてもなく練習していました。

そして今回、やはりこの曲にしよう、と決意したのは、冒頭のフレーズに「これは3.11震災へのレクイエムだ・・・」と感じたからです。私独自の感想ですが、震災の痛み、湧き起こるやり場の無い大きな感情の塊と、それを大きく包み込む優しさ、終楽章には復興への強い決意と勇気を感じ、今これを演奏したいと強く思ったのです。ちょっと無理めな選曲をしてしまったと思いますが、近年、自分の衰えっぷりを見せ付けられることが多くなり、これではいけない、という思いも後押ししました。

演奏する決心をしてからは「できないかも」ではなく「どうやったらできるか」というふうに考え方が変わりました(最初からそうすれば良かったのに)3日前くらいになってやっと調子が出てきたら、逆に「あ、これじゃ全然間に合わない。」とはっきり分かって苦笑い。あとはもう、妥協であろうがかっこ悪かろうが、必死の姿を生徒の皆さんにみていただくだけです。

思い入れはたっぷりでしたが、それを先に言ってしまうのはずるいので、後から発表しようと決めていました。

反省点は他にも山ほどありますが、言い訳がましくなるので、あと一つだけ。直前にEsのキーがこの前の調整で重くなったのが気になって治してもらったら、裏目に出てしまって低音Cのミスタッチだらけの演奏でした。常日頃、本番前には修理はしちゃいけない、と生徒さんには言っているくせに、やっちまった。かっこわりい~。みなさん、くれぐれも本番前は修理をしませんように!

 

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