音楽は力

マンドリン・オーケストラOSTの定期演奏会に賛助させて頂いた。

毎年恒例のお手伝いとなってもう20年近くになろうとしている。メンバーの皆様からも「仲間だよね」とのお言葉を頂きとても嬉しく感じている。

このところのイベント自粛ブームにもれず、OSTでも中止という話も出たのだそうだ。今日のあの大きな余震を思えば、実際、昨日開催したことは冒険だったと言える。

が、メンバーの皆さん、お客様も、このコンサートの開催は良かった、と口を揃えた。それは、実際にあの場に参加した者にしか分かり得ないことかもしれないが、あの1時間半、確かに我々は音楽の「力」によって気持ちを結集し、勇気を持って生きようとの想いを強くしたのだ。

音楽というものは、無尽蔵なエネルギーの塊である。その源は人の心なのであって、何の資源をも浪費しない。

音楽を演奏することができるものは、演奏するべきである。そのエネルギーを、自己を媒体として大勢の人に受け渡さなくてはならない。そのような使命を帯びているのだと感じる。

震災以前にも、都会の人々の心は弱り、病んでいたのだが、今はそれ以上に、日本中の人々が大きな重荷を背負っている。

もう一つには、音楽を、例えば人々により大きな感動を伝える演奏をする場合、それ相応の人間の強さを伴うということがある。強さの本質というのは「胆力」、P.マイゼン師匠の言うところのSchwerpunkt(重心)なのだが、それを強く感得するには、シンプルに言って「気力・体力」が必要になる。演奏(またはもっと他の技術でも同じ)を通じて「胆力」「重心」を確認できる人間は、より早く動揺から抜け出し、自分の「芯」を取り戻し、前進していかなければならない。

音楽を演奏する人は、強い。悲しみを、感動に変えてしまう術を、おのずと身に着けているからなのだ。感動から美へ、やがて喜びへと導く、まさに天からの恩恵なのである。

 

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