フルーティストのための呼吸訓練法セミナー(2)
フルートを演奏するためのより良い呼吸訓練法と、その具体的な修得法についての研究・発表です。引用なさる場合はご一報下さい。またご意見、ご質問などお寄せ頂ければ幸いです。
4. 理屈はいいから即、実践!
呼吸は目に見えないもの。とかくイメージの壁に阻まれがちな呼吸法ですが、ここでオススメするトレーニング方法は至ってシンプルなものです。おまじないだと思って日々続けてみて下さい。他にも沢山のトレーニング法がありますが、導入編として基本的な所だけあげてみました。→本格的に取り組みたい方はこちら
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目的
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トレーニング
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ポイント
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プラン
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(1) | 基本の体力づくり | 【A】バタ足腹筋 | 良い呼吸は柔軟な肉体から。 | 3日に1日くらい休み |
(2) | しっかりした音 | 【B】腹式呼吸 その1 | 毎日のウォーミングアップにどうぞ。 | 練習の前に必ず10分 |
【C】腹式呼吸 その2 | ||||
【D】腹式呼吸 その3 | ||||
(3) | 豊かな表現 | 【E】犬の呼吸 | 支えが足りない場合に。 | ウォーミングアップの仕上げに3分 |
【F】ヴィブラート | 音の柔軟性がない時に。 | やりたい時だけ | ||
(4) | 自由な歌を歌おう | 【G】のどを開く | 何か息苦しいときにはのどを疑え。 | 気になった時はすぐに
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自然体で構える
自然体は、すべてのトレーニングにおいて基本となる姿勢です。ここでは自然体のトレーニングは省略し、フルートを自然体で構えるところからはじめます。自然体のトレーニング法はこちらをご参照ください。
(1) 基本の体力づくり
【A】バタ足腹筋
1)時間があれば、全身のストレッチを行ない、体をほくしておきます。
2)仰向けになって寝ます。
3)つま先を床から10cm位上げ、そのまま一秒に両足一回のペースでバタ足。100回目標。
4)終了後、足の付け根の筋肉がひきつるのを感じながら、息をはきます。
〈ポイント〉
・弱い人、腰に痛みがある人は、ふとんなど柔らかい物の上でやると楽です。 ・頭や手が浮かないようにします。 ・「もう無理!」と思ってからあと10回頑張ると良いです。 ・100回やっても余力がある人は、両足でアルファベットを全部書きます。 |
(2) しっかりした音
【B】腹式呼吸 その1
1)まず電車に乗っている時のように、何も考えず普通に真直ぐ立ちます。
2)その「普通の」感覚のまま楽器を構えます。普通に友達と話をしてもよいです。
3)おもむろに、おへその5cm下をぐっと引き締め、ごく短く「低いソ」の音を出します。この時、あごや口の力を一切いれない下さい。きれいな音は必要ありません。
4)一音吹いたら、元の「普通」に戻ります。いちいち戻ったことを確かめながらくり返して下さい。
【C】腹式呼吸 その2
1)その1を集中してやっていると、だんだん音がしっかりしてきます。
2)より深く強くお腹を引き締めながら、少しだけ長めに伸ばしてみます。あえて「息を吸わない」こと。
3)「ぱっ」と一瞬でお腹を弛ませて「普通」にもどったかゆっくり確認します。
【D】腹式呼吸 その3
1)その2の「引き締める→緩める」が正しくできるようになったら、低音のソ以外の音も吹いてみます。
2)再確認 ○肩に力が入って上がっていませんか○あごや口に力みはありませんか○息を吸わないこと
3)中音のソくらいまで半音ずつ上がっていきます。音がひっくり返って低音になってしまう人は、無理にだそうとせずそのまま下降して低音に戻って下さい。
とりあえず、ここまで正しく実行できれば十分です。「低音はものすごくしっかり出るようになったが、中音・高音が出しにくい」という問題が起きたら次の段階に進みます。
(3) 豊かな表現
【E】犬の呼吸
1)みぞおち(おへその上)を手で押してみます。痛かったり固かったりしないで柔軟で弾力性があるのが理想です。胃が悪い人や背中が丸まっていてみぞおちがだらんと凹んでいる人は問題アリです。
2)犬のような「ヘッヘッヘッヘッ」という非常に速い呼吸で、みぞおちをベコベコと動かします。
3)楽器で出しにくい音を吹く時にみぞおちをぐっと前に出す様に意識してみて下さい。
※中音・高音が全然出ない場合は呼吸法だけではなくフルートの技術に問題ありなので、ちゃんと先生にみてもらって下さい。
【F】ヴィブラート
1)犬の呼吸ができたら楽器を口にあて、中音のラぐらいの楽な音で、6連符+1音の感じで、そのままの勢いで一気に吹きます。短くてOKです。できるだけ音の振幅を大きくして下さい。
2)どんどん振動を速くしていき、ほとんど音がつながってしまう位になったら伸ばし、歌うように吹きます。
※のどや口に力が入っているとよくありません。
(4) 自由な歌を歌おう
【G】のどを開く
1)真上を向き、息を吸ったり吐いたりしてみます(この時のどは開いています)
2)前を向き、すぐに吹きます。上を向いた時と息の流れが同じになるように吹きます。
3)それでものどが閉じる人は、上を向いたまま吹いてみて感覚をつかんで下さい。