地上の楽園

久しぶりに暖かな春の日差しに恵まれた4月4日、武蔵野市のテンミリオンハウス「くるみの木」さんで演奏させて頂きました。

“テンミリオンハウス”というのは武蔵野市の補助金を受けている高齢者向けの福祉施設で、現在市内7か所で運営されています。市が民家を借り上げてリフォームしているので、本当に近所のお家に遊びにきたようなくつろいだ雰囲気。小さな部屋ながら、日替わりでヨガやマージャン、歌の会など楽しいサークルが開催されるのです。

暖かい日差しの中、3歳の次男君の手を引きながら会場に向かいますと「そういえば小学生のころ、このあたりのお友達の家に遊びにきたなあ~」と懐かしさでいっぱいです。

素敵なウッドデッキから引き戸を開けてお部屋に入ると、明るくて親切なスタッフさんたちが笑顔で迎えて下さいました。甲斐甲斐しくランチのお給仕をされながら、私たちの演奏の準備にも気を配って下さいます。

この日のランチは、柔らかく煮付けてのどごしのよいアンを絡めたカジキマグロ、春を感じるウドと筍のごまあえ、白髪ネギたっぷり散らしたお麩のお味噌汁、ほどよく熟したバナナのチョコレートソースがけ。もう一つは、お野菜たっぷりのみそラーメンと、ジャムを添えたミルクプリンのランチ。どれ一つとっても薄味でローカロリーで、食べやすく工夫されていて、深い心づくしを感じました。

テーブルフラワーの野趣に溢れて素敵なのに目を奪われていましたら、同席した優しい笑顔の男性の利用者さんが毎日お庭から持ってきて下さっているのだというのです。活けられた花の名前をすらすらと書いて、ひとつづつ教えて下さったのですが、こごめ櫻、やまぶき、あざみ、白たんぽぽ、ひとりしづか、いちりんそう、にりんそう、など・・・ざっと10種類以上の小さな花たち。それと、ピンク色のおとめ椿、白い絞りの赤い椿も。こんなに素敵なお花を毎日飾って下さるなんて。花の話題で皆さん盛り上がりました。

次男君を連れてお庭にでると、心地よい木陰のできるアイアンのベンチ、季節の花々が楽しめる小路、小さな菜園もあって、二人で庭じゅうぐるぐる歩き回って遊びました。こちらにはガーデニングアドバイザーの先生も教えにみえると聞いて、納得しました。お庭に飽きてお部屋に戻ると、隣室にはときどき子供たちが集まる部屋があり、おもちゃがたくさん置いてあります。子供たちと過ごせることは多くのお年寄りにとって嬉しいことでしょうし、お母さんたちもほっと息を抜ける場所にもなっているというのが素晴らしい!

さて演奏が始まりますと皆さんとても熱心に聴いて下さって、アンコールまで頂戴し、楽しませて頂きました。演奏後はいちごのデザートに美味しいコーヒーを頂きながら、皆様に一言ずつお話を伺いました。皆様エネルギッシュで、とても高齢者とお呼びするには相応しくない方ばかり。ぜひに、と足を運んで下さって、演奏を心から喜んで下さって、大変励まされました。

こんな素敵な場所で余生を送れたらなあと夢見た一日でした。

コンサートにお越し下さったみなさま、お世話になったスタッフの皆様、ありがとうございました。

 

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